DataMesh/TISとDataMesh、大林組の工事におけるBIM/CIM、Mixed Reality技術の活用に向けた試行を実施

DataMesh IT導入補助金に関するリリースです。IT導入補助金とはITツールを導入しようとする事業者に対して、ITツール導入費用の一部を補助する制度です。

作業手順を MR で確認し、鉄道工事の生産性・安全性を向上

TIS株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役会長兼社長:桑野徹、以下TIS)とDataMesh株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:王暁麒、以下: DataMesh)は、株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治、以下:大林組)において、BIM/CIM※1とMixed Reality(以下、MR)技術を活用し、工事現場の生産性向上に向けた作業手順を簡単にMR上で再現できるDataMesh Directorの試行を実施したことを発表します。
※1 BIM/CIM(Building / Construction Information Modeling, Management)。測量・調査、設計段階から 3 次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理・更新の各段階においても 3 次元モデルを連携・発展させて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図るもの

<武蔵小杉駅の工事現場 MR上で補強斜梁の施工手順を確認しているところ>

今回TISがコンサルティングを行い、DataMeshが施工ステップなどの動的な3D手順を簡単に作成し投影できる「DataMesh Director」を提供し、鉄道工事の現場でのBIM/CIMモデルのMR投影が有効であることを確認しました。

■DataMesh Director試行の背景

建設業界では、就業者数の減少や高齢化により、大量離職の懸念があるとともに、土日の現場稼働の影響もあり他産業と比較して労働時間格差が大きく、今後若者を中心とした新規入職者の確保や、生産性向上による省人化ならびに長時間労働の是正など働き方改革や労働環境の改善が課題となっています。そのため国土交通省では、2025年度までに20%の労働生産性向上を目指すi-Construction※2を掲げ、ICT活用やBIM/CIM活用を推進しています。

大林組では、施工管理者向けVR教育システム「VRiel」やAR合意形成ツール「FutureShot」などを開発し、XR技術を活用した人材育成を図っていますが主に施工物の完成形の表示であるため、現場作業の中での活用は限定的でした。

そこでMicrosoft Mixed Reality パートナープログラム認定パートナーであるTISおよびDataMeshとともに、作業ステップごとのBIM/CIMモデルを使用し、より効果的なXR技術の活用を目指しました。

※2「ICT の全面的な活用」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組み

■工事現場の課題と課題解決に向けた試行について

駅の改良工事など営業線近接の鉄道工事は、一晩の作業時間が終電から始発までの数時間に限定されることから、作業の手戻りは大きな損失になります。そのため作業手順の確認には発注者、元請、協力会社の作業員の間で綿密な協議を重ね、各役割を徹底させるまで多くの時間を費やすことが必要でした。そこで今回の試行では、Microsoft HoloLens 2やタブレット端末を使用し、デバイスにDataMesh Directorで作成した作業手順を表示することで作業時間短縮を図りました。

実際の工事現場に重畳表示する確認を、以下2つの現場にて実施しています。

・東日本旅客鉄道発注鉄道営業線の直上に高速道路の桁を架設する工事(東海道本線戸塚・大船間横浜環状南線交差部上部工新設)

・鉄道駅のホーム増設工事(横須賀線武蔵小杉駅2面2線化他)

 ①東海道本線戸塚・大船間横浜環状南線交差部上部工新設

橋梁架設工事では9線全線の線路を閉鎖して約100分という限られた時間内に主桁の送り出しを完了させる必要があり、安全かつ確実に作業を進めるため事前にあらゆるリスクを洗い出し、対策を実行しました。
この桁の送り出し手順をMR投影することで、作業の一連の流れが可視化され、施工手順や危険作業、危険個所の確認がしやすくなり、工程管理を効率化できることが確認できました。

<橋梁主桁送り出し手順イメージ>

②鉄道駅のホーム増設工事

ホーム増設工事では、旅客の仮設通路内に補強梁が露出するため、旅客者の視線での作業計画が必要になります。複雑な施工手順をMR投影で可視化し、複数の作業員や職員で確認することで、実際の作業のスケール感や旅客への影響度を確認することができ、より良い施工計画立案に役立てることがわかりました。

 <補強斜梁施工手順イメージ>

今回の試行について、株式会社大林組よりコメントを頂いております。

・武蔵小杉駅コメント(武蔵小杉駅工事事務所 主任 越智啓太氏)

補強斜梁MRについては駅旅客通路という狭い空間の中に支障物がある状態で、施工計画の作成、発注者への説明、作業員の施工手順の理解に非常に有効だと感じました。
鉄筋組立MRについては組立手順を視覚的に確認することにより熟練鉄筋工がいなくても手順を理解できるようになると慢性的な人材不足にも対応できると思います。MR活用により現場の新しい形の「見える化」ということで現場の安全面においても効果的だと感じました。

・JR横浜環状南コメント(JR横浜環状南JV工事事務所 工事長 錦織陽一氏)

これから施工する構造物や桁の架設ステップを現場で視覚的に確認できる事は、現場の施工計画の理解や今後の計画の深度化、発注者等への現場説明を効率的に行うためにとても有効だと感じました。今後、上下線の桁架設計画の発注者等への説明、また本設構造物だけでなくベント等の仮設物の既設物との干渉状況、作業条件の確認や設置後の周囲への影響等、施工計画の深度化に使用したいです。
更に技術が進めばより細かな現場検証や墨出し等への活用も期待できると考えます。これらICTやBIM/CIMを有効に活用することにより、現場業務の効率化をより図っていきたいと思います。
 
・先端技術企画部コメント(生産技術本部 先端技術企画部 主任 山中孝文氏)

これまでMRを使って“施工場所で施工手順を可視化できる”ツールはありませんでした。
しかし、DataMesh Directorではそれができます。しかも、そのコンテンツの作成はプロフェッショナルでなく、誰でもできる。つまり現場事務所の中で作ることができるのです。これは非常に画期的です。
建設現場での活用場面は多くあります。今後は現場との意見交換を行いながら、現場で誰でも使える普通のツールとなるように、TIS、DataMeshと一緒に建設現場への実装を進めていきます。
 

詳細動画は以下をご参照ください。
 

 
大林組ニュースリリース:
https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20210118_1.html
 

■DataMesh Director 活用の利点

1 現地で動的3D手順を重ねて確認できるため、工事の生産性が向上

動的な3Dアニメーションで作業手順を現地で事前に確認できるため、役割分担の決定にかかる時間を大幅に短縮できます。また、若手作業者でも正しく作業を理解できること、施工中にも作業手順の動画を投影することで間違いを未然に防止できることから、生産性の向上が見込まれます。

2 BIM/CIMの現場での活用手段として有効

施工現場で詳細な作業指示や位置確認を行う場合は、2次元の施工図面を切り出す方法が一般的ですが、本技術ではBIM/CIMを3Dモデルのまま活用可能なため、立体的な完成のイメージを確認・共有でき有効的です。

3 誰でも簡単に動的3Dコンテンツを作成・投影可能

BIM/CIMがあればPowerPointのスライドを作成するように施工ステップを作ることができるため、従来よりも簡単に作成・修正が可能です。また、作成物はクラウドに保存され、複数媒体で投影でき、遠隔地同士での情報共有など幅広い場面で活用できます。

今後TISおよびDataMeshは、両社が持つMR関連技術の知見を活かし、建設業界のデジタルトランスフォーメーションを加速させていきます。

■日本マイクロソフト株式会社よりのエンドースメント

今回のTISとDataMeshの協業に関し、日本マイクロソフト株式会社 Mixed Realityグローバルセールス アジア・パートナーリード 村中徹氏は次のように述べています。

「日本マイクロソフトは、この度の大林組様の鉄道建設工事におけるTISとDataMeshの取組を高く評価致します。DataMesh Director とMicrosoft HoloLens 2の活用が労働力人口の減少という課題を抱える建設業において効率的な訓練、情報共有の主要な手段となると考えます。今回の試行を全国展開することでさらなる生産性の向上につながることを期待しています」

■「DataMesh Director」について

“XR技術実装の民主化を実現する”をコンセプトにDataMeshが独自に開発したデジタルツインプラットフォームです。建設業界における施工作業において、施工対象の作業手順はその時々で類似性はなく、施工対象の数だけ無数にあることからも、ユーザー自身が簡単に手順を組むことができるMRソリューションが必要とされていました。以下の3点が大きな特徴です。

・Mixed Reality業務実装の内製化が可能

・静的なモデルの表示だけではなく、手順など3Dアニメーションを短時間で作成及び出力可能

・遠隔地間で手順などの3Dアニメーションの共有が可能

これらの特徴により、現場業務への普及とともに、労働生産性の向上が可能になります。

 
■DataMesh株式会社について(https://www.datamesh.co.jp/)

創業以来、世界最先端のデジタルツイン技術を提供してきました。直近では、Microsoft Partner of the Year Award 2020 Mixed Reality部門において、確かな実績を評価いただきアジアから史上初めてFinalistにノミネートされました。各社の製品や設備、作業マニュアル、ワークフローなどをデジタルツイン化し、”非対面による移動不要の新たな働き方”、”ファーストラインワーカーの業務生産性・効率性の向上”の実現を通じて、昨今の社会課題を解決するための取り組みを強化しています。多業種において、PoCからデプロイまで幅広く対応しております。

 
■TIS株式会社について(http://www.tis.co.jp/

TISインテックグループのTISは、SI・受託開発に加え、データセンターやクラウドなどサービス型のITソリューションを多数用意しています。同時に、中国・ASEAN地域を中心としたグローバルサポート体制も整え、金融、製造、流通/サービス、公共、通信など様々な業界で3000社以上のビジネスパートナーとして、お客様の事業の成長に貢献しています。

※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
※ 記載されている情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。

【本件に関するお問合わせ先】

TIS株式会社(報道関係からのお問い合わせ先)
企画本部 コーポレートコミュニケーション部 橋田/髙橋
TEL:03-5337-4232 E-mail: tis_pr@ml.tis.co.jp

TIS株式会社(本件に関するお問い合わせ先)
産業公共事業本部 エネルギービジネス事業部 エネルギービジネス第2部 森
E-mail:xr-solutions@ml.tis.co.jp

DataMesh株式会社 鹿島田 健将
E-mail: service@datamesh.co.jp