【最新アンケート調査】日本のオフィスにおける文書管理とデジタル化の課題

世界各国の企業が急速にDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるなか、多くの日本企業では依然として紙の書類、ハンコ、手作業のワークフローといった従来の慣習への固執が見られます。古いやり方に捉われて「現状維持」を貫くことは、時には非効率を生み出し、働く人々にストレスを与えています。

私たちがオフィスで働く1,000人を対象に行った調査では、イノベーションが抑制された職場環境が浮き彫りになりました。オフィス内でクラウドストレージや電子署名といったデジタルソリューションの利点が認識されているにもかかわらず、多くの企業は従来のシステムを利用しています。このことは効果的なテクノロジーの活用を妨げるだけでなく、日本の競争力を低下させている可能性があります。

オフィスで働く人々がタスク管理における技術の重要性を認めている一方で、新しいツールの導入が遅れているという現状は、新たなソリューションの必要性を示唆しています。スピーディーで効率的な職場環境を築くためには、文化的な慣習と合理的なワークフローを調和させることが不可欠だと考えられます。


調査概要

本調査では、2024年10月に「Freeasy」を用いた2回のオンラインアンケートを実施しました。最初の調査では、日本全国のオフィスで働く1,000人の成人男女を対象としています。2つ目の調査では、そのうちの100人を対象としました。本リリースはPDF Guruが実施した調査のレポートの要約となります。

最初のアンケートでは、オフィスで働く全都道府県の20歳以上の男性786人、女性214人を対象とし、続くフォローアップアンケートでは、その中で業務の30%以上にコンピューターを使っている、30都道府県の20歳以上の男性75人、女性25人の計100人の回答が得られています。


調査1の結果

社内文書は通常どのように保管していますか?

グラフから明らかになったのは、社内文書の保管においてデジタル形式のみを使用している回答者が10%未満であるということです。一方で、約17%の回答者は紙のみを使用しており、現代においては驚くべき高い割合だと言えるでしょう。

このデータは回答者の90%以上が何らかの形で印刷物の利用を継続していることを示しており、従来の慣習が今も浸透していることを浮き彫りにしています。

紙の文書はどのような状況で使用しますか?(複数回答可)

この結果は、重要な文書が依然として紙面で取り扱われていることを表しています。特に「承認が必要な場合」の回答では、50%以上の回答者が管理職の捺印が必要であると述べています。

2024年においてもなお、法的・公的な文書だけでなく、長文または複雑な文書において紙が使用されているのは、実際に必要というよりも過去の慣行によるものかもしれません。

社内文書を作成する際に最もよく使うツールは何ですか?

60%以上の回答者がMicrosoft Wordを使用していることは驚くべきことではありませんが、約18%が依然として主にペンと紙に頼っていることが判明しました。この結果は前述のデータを裏付けており、日常業務に依然として紙が多く使われていることを表しています。

文書はどのように保存および共有していますか?(複数回答可)

文書の保存や共有に関しては特に興味深い結果が出ています。79%近くの回答者がデジタルで文書を保存・共有しているにもかかわらず、多くはクラウドストレージを使用していないか、または使用が許可されていません。保存・共有の方法としては、内部サーバーが強く好まれているようです。さらに、50%以上の回答者が外付けハードドライブ、USBデバイス、または印刷物という比較的従来型の保存方法を利用していることがわかりました。

社内で新しい技術を導入する速さはどの程度ですか?

新しい技術を迅速に導入していると答えたのは約7%の回答者に過ぎません。大多数は採用速度を平均的と述べ、約46%は遅い、または非常に遅いと答えています。これは、技術導入の面で大きな改善が必要であることを示しています。

調査1の主な調査結果のまとめ

文書保管の実態

  • 社内文書の保管に完全にデジタル形式を使用している回答者は10%未満です。

  • 約17%が紙のみを使用しており、90%以上が何らかの形で紙の形式を依然として利用しています。

紙の文書の使用状況

  • 重要な文書は依然として紙で取り扱われ、特に承認にはハンコが必要であることが示されています。

  • 50%以上の回答者がハンコを必要としており、過去の慣行による紙への依存を示唆しています。

タスク管理におけるテクノロジーの重要性

  • 50%以上がテクノロジーを業務管理に不可欠と考えている一方、約40%は有用性が低いと感じており、紙ベースの形式と非効率なワークフローへの依存を示唆しています。

文書作成に使用するツール

  • Microsoft Wordが最も使用されているツール(60%)ですが、約18%は依然としてペンと紙を使用しています。これは日常業務に依然として紙が使用されていることを裏付けています。

文書の保存と共有方法

  • 約79%がデジタルで文書を保存・共有しているものの、多くはクラウドストレージを使用せず、USBや外付けハードドライブ、印刷物などの手段を好むようです。

ハンコおよび電子印鑑の使用

  • 約68%の回答者が文書の承認にハンコを必要としています。電子印鑑のみを使用しているのは約10%です。

電子署名の利用状況

  • Adobe Acrobatが電子署名においてわずかに優位ですが、ソフトウェアの使用実態に関しては詳細な調査が望まれます。

会社のデジタル化への満足度

  • 50%以上の回答者が会社のデジタル化努力に不満または部分的な満足を示しており、非常に満足しているのは約10%にとどまっています。

業務におけるコンピューターの使用率

  • 回答者の24%のみが主にコンピューターで業務を行っており、紙の継続使用が依然として顕著です。

新技術の採用速度

  • 約7%のみが新技術の迅速な採用を報告。約46%は会社が新技術の導入に遅れていると回答し、改善の余地を示しています。


調査2の結果

社内文書に関する最大の課題は何ですか?

効率的な社内文書の整理は、50%以上の回答者にとって大きな課題となっています。デジタルストレージがこのプロセスを合理化できる可能性があるものの、多くの人々が依然として印刷された文書を管理しており、既存の紙の記録と併せてファイリングする必要があることを示しています。セキュリティと機密性に関する懸念も、デジタルおよび物理的な形式の両方で引き続き存在しています。興味深いことに、バージョン管理の問題を報告した回答者は10%未満であり、これは通常デジタル文書に関連する課題であることから、これもオフィス業務の大部分が依然として紙面で行われていることを示唆しています。

既存のファイルを編集する頻度はどれくらいですか?

多くの回答者は、既存のファイルをほとんど、または全く編集しないと答えています。これは、再印刷なしでは修正が困難な印刷文書の使用頻度の高さを示唆しています。一方、約25%の回答者がほぼ毎日文書を編集しており、これはデジタルワークフローの導入率と比較的一致しています。


文書をPDF形式に変換する頻度はどれくらいですか?

このデータは前述の結果を裏付けており、大多数の回答者が文書をPDFに変換することがほとんどないか、全くないことを示しています。これは、PDF変換が彼らの業務において重要でないことを示唆する一方で、印刷された文書への依存度の高さを示している可能性があります。さらに、わずか12%の回答者がほぼ毎日文書をPDFに変換しており、この数値の低さも紙ベースのワークフローによるものと考えられそうです。

社内でAIをどれくらい使用しますか?

大多数の回答者は、業務においてAIツールをほとんどまたは全く使用していないと報告しており、ChatGPTなどのツールが広く採用されている欧米諸国とは対照的です。さらなる調査では、これが会社の方針、知識の欠如、不安感、またはこれらの要因の組み合わせによるものかを探ることができます。これらの結果は、調査1で回答者の10%のみが会社のデジタル化に満足していると答えたことと一致しています。AIツールを十分に活用するには文書のデジタル化が不可欠であり、これはこれらの職場でのAI導入の主な障壁を浮き彫りにしています。


あなたの管理職は新しいソリューションを積極的に取り入れていると感じますか、それとも伝統的な方法に依存していると感じますか?AIツールなどの現代技術を採用する姿勢について、管理職への不満や要望があれば教えてください。

多くの回答者は、新しいソリューションが積極的に採用されておらず、その現状に満足していると感じています。しかし、これは必ずしも彼らの業務プロセスが効率的であることを意味しているとは限りません。むしろ、慣れ親しんだ方法に快適さを感じており、これらの慣行が業界の標準であるため、管理職から現代技術を採用するプレッシャーがかかっていない可能性があります。これは、イノベーションを追求するよりも現状維持を好む傾向を示しており、確立されたルーチンへの快適さと変化に対する外的な動機付けの欠如によって促進されていると考えられます。

自由回答:あなたの職場での伝統的な作業方法とAIツールなどの現代的な革新のバランスについて、どう感じますか?

調査では、多様な意見が寄せられました。

ポジティブな回答の例

  • 簡単な検索はAIに任せた方が楽なので、一度便利だと感じれば、皆抵抗なく使っています。

  • 適切に管理されており、バランスが取れていると思います。

  • バランスは完璧です。

  • デジタル面ではかなり追いついてきましたが、まだまだ先が長いと思います。

ネガティブな回答の例

  • AIについていけない。

  • 扱える人が少ないので時間がかかる。

  • 高齢層の多い会社なので、もっと進めたいがなかなか進まない。

  • まだまだ印鑑が多い。

多くの回答者が中立的または無関心であったことは、彼らが現状維持の姿勢であることを示唆しています。これは、多くの職場でイノベーションが大きく欠如していることを示しており、従業員が新しい技術に対して挑戦を感じていないか、特に関心を持っていないことを示しています。伝統的な方法が深く根付いており、現代的なソリューションを採用する圧力がほとんどないことを表しています。


調査2の主な調査結果のまとめ

社内文書に関する課題

  • 50%以上の回答者が、社内文書を効率的に整理することが最大の課題としています。デジタルと紙の文書が混在することが、このプロセスを複雑にしています。

  • バージョン管理の問題を報告したのは10%未満で、多くの人が印刷物で業務を行っていることを示唆しています。

ファイル編集の頻度

  • ほとんどの回答者が既存のファイルを編集することが稀または全くないと答えており、修正が困難な印刷物に依存していることを示しています。

文書のPDF変換

  • 大多数の回答者が文書をPDFに変換することがほとんどなく、紙媒体に大きく依存していることを裏付けています。

  • 約10%の回答者のみがほぼ毎日PDFに変換しています。

英語のソフトウェアやツールの使用

  • 大多数が英語のソフトウェアやツールをほとんどまたは全く使用しておらず、60%以上がMicrosoft Wordを使用していますが、日本語版を利用していると考えられます。

職場でのAIの利用

  • 多くの回答者が業務でAIをほとんどまたは全く使用しておらず、他地域でのAI活用状況と対照的です。これは会社の方針やAIツールへの不慣れが原因と考えられます。

デジタルツールによるプレッシャー

  • 50%以上の回答者が、新しいデジタルツールによって業務スピードを上げるプレッシャーをほとんど感じていません。これは印刷物に依存しており、デジタルツールがあまり関連性を持たないためと推測されます。

日本製ソフトウェアと国際的なソフトウェアの快適さ

  • 回答者は日本製ソフトウェアと国際的な代替品のどちらを好むかで意見が分かれていますが、多くは日本語で使用できるソフトウェアに快適さを感じていると推定されます。

管理職の新技術への取り組み

  • 大多数の回答者が、管理職が新しいソリューションを積極的に採用していないと感じていますが、その現状に満足しています。従来の方法への安心感が、イノベーションよりも優先されています。

伝統的な方法への依存

  • 回答者のわずか20%未満が、ファックスや紙の書類などの古いやり方への依存が過度であると考えています。これは、伝統的とデジタルなワークフローの現状のバランスに対して、全体的な満足感があることを示しています。

日本のオフィスライフの現実—まとめ

1. 紙の文書への継続的な依存

デジタル化の努力にもかかわらず、90%以上の回答者が何らかの形で紙の文書を使用しており、17%は完全に紙に依存しています。この依存は特に文書の承認プロセスにおいて顕著で、半数以上の回答者が管理職の捺印を必要としています。これは、日本の文化的慣習がオフィスのワークフローに深く結びついており、デジタルソリューションの採用に大きな課題をもたらしていることを示しています。

2. クラウドソリューションよりそれ以外のストレージを好む傾向

79%の回答者が文書のデジタル保存を報告している一方で、クラウドストレージの利用頻度は高くありません。オフィスで働く回答者多くがUSBドライブや外付けハードドライブ、印刷物などのストレージソリューションを好んでおり、プライバシーやデータセキュリティへの深い懸念を反映しています。クラウドストレージの利便性が認識されていても、日本のオフィス内の慎重な態度がその採用を妨げているようです。

3. 文書作成におけるペンと紙の重要性

Microsoft Wordは最も一般的なツールで、60%の回答者が文書作成に使用しています。しかし、18%は依然としてペンと紙を好んでおり、手作業のプロセスがデジタルツールと共存し続けていることを示しています。これはファイルのPDF変換が頻繁でない理由ともなっており、多くの職場で印刷物が好まれていることをさらに強調しています。

4. 低いAIの採用率とデジタル化への満足度のばらつき

日本のオフィスでのAI利用は最小限で、回答者の大多数がChatGPTなどのAIツールをほとんどまたは全く使用していないと述べています。これは、会社のデジタル化に完全に満足している回答者が10%に過ぎず、50%以上が不満や部分的な満足を表明している事実と一致しています。紙からデジタルへのワークフローへの移行の遅れが、AI採用のさらなる障壁となっており、デジタル化が効果的なAI利用の前提条件であることを示しています。

5. 変化のペースを遅らせる管理職の役割

調査によれば、回答者の46%が自社が新技術の採用に遅れていると感じており、多くの従業員が現状に満足していると述べています。ファックスやハンコなどの従来のツールが引き続き広く使用されており、従業員は新しい技術よりも慣れ親しんだワークフローを好んでいます。この変化への抵抗は、日本の職場における安定性の重要性を反映しており、従業員と管理職の双方が既存のプロセスを変える意義をあまり見出していないことを示しています。

6. 文書整理の課題が変革の必要性を強調

50%以上の回答者が社内文書の整理を最大の課題と認識しており、デジタルと紙の両形式を扱う難しさを示しています。興味深いことに、バージョン管理の問題は稀で、多くの従業員が編集不可能な紙の文書に依存している可能性があります。これは、印刷物がオフィス業務の中心であり、ワークフローの合理化を複雑にしていることを示唆しています。

結論

伝統とデジタルトランスフォーメーションのバランス

調査結果は、日本企業が従来の慣習とデジタル化のバランスをとる上で直面している独自の課題を浮き彫りにしています。紙ベースのワークフロー、ハンコ、社内ストレージが依然として主流であり、デジタルツールは日常業務の必須要素というよりも、補助的な利便性として機能しています。セキュリティへの懸念や手作業への慣れも、クラウドストレージやAIなどの現代的なツールの導入を遅らせる要因となっています。

日本企業がデジタル化を完全に受け入れるためには、経営陣が新技術の推進とワークフローの改善を主導する必要があります。電子印鑑、安全なクラウドストレージ、AI駆動のソリューションの利点を周知することが改革への鍵であると考えられます。加えて、紙への依存度を下げ、しっかりしたデジタルワークフローを構築することが、新たな技術の潜在力を引き出す上で重要となるでしょう。

しかし、有意義な変化を達成するには、技術的な解決策だけでは不十分です。従業員と経営陣がイノベーションに取り組む際、文化的な意識改革も求められます。この変革がなければ、日本企業は急速に変化するグローバルなビジネス環境で遅れをとる恐れがあります。伝統の価値を尊重しつつ新しいツールを受け入れることが、より機敏で競争力のある職場を創出する鍵となるでしょう。


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